健康診断は、体の健康状態を総合的に確認するための検査です。健康診断の対象者は、乳児や妊婦さん、地域住民、学生、会社の従業員など種類があり、それぞれ内容も異なります。

会社勤めの人の場合、健康診断の受検は労働安全衛生法によって定められており、検査を受けることが義務になっています。健康診断の検査も業務時間内に行われるので、うっかり検査を受け忘れたということは少ないでしょう。

一方で、自営業や主婦の方は、自治体からお知らせが届いたら、健康センターや提携の医療機関で検査を受ける必要があります。会社勤めの方よりも、検査を受ける割合が低い特徴があるので、きちんと検査を受けることが大切です。

健康診断の検査結果で異常が出た場合は、精密検査を受けてさらに詳しく調べて、病気が発見される例もあります。また、異常でない場合も、正常と異常のボーダーラインだった場合は、健康指導を受けることで、自分自身の生活習慣を見直すきっかけになるでしょう。

このように、健康診断は単に自分の健康状態を知るだけでなく、病気の早期発見や予防にも役立つ重要な検査なのです。

一般に健康な人が病院に行くときは、体に何らかの症状が現れているときが多い傾向があります。一方で、さまざまな病気がある中で、初期の段階で症状が現れない病気も少なくありません。このような病気の場合、症状が現れて病気へ行ったときは、すでに病気が進行していたという例もあります。

健康診断の大きなメリットは、自覚症状のない病気の中でも、生活習慣病に関する病気の早期発見ができることです。生活習慣病が引き起こす病気の中でも、重要なのが心血管疾患です。

心血管疾患は、心臓や脳などの血管が詰まったり、破れたりしてしまう病気です。心臓や脳は生命維持に欠かせない重要な臓器であるため、病気を突然発症して、命を落としてしまうケースもあります。幸いに命を取りとめても、長い療養が必要になったり生活が制限されてしまったりということもあります。

心血管疾患の要因にはいくつかありますが、中でも注目されているのが動脈硬化です。動脈硬化は血管の内側の壁が柔軟性をなくしたり、血管内のスペースが狭くなったりする状態をいいます。

動脈硬化のリスク要因には、高血圧・脂質代謝異常・糖尿病などの生活習慣病や、肥満、喫煙などが挙げられます。動脈硬化のリスクが高い人は、健康診断のいくつかの検査項目で異常と診断されることがあります。

健康診断で大切なことは、検査を受けてそれで終わりではなく、検査結果から生活習慣を見直すことです。検査項目の結果とかかわりのある生活習慣については、改善していくことが大切です。検査で再検査や精密検査となった場合は、追加の検査を受けるようにしてください。
コツコツと生活習慣を見直していけば、来年の健康診断で良い結果になることもあるでしょう。反対に、特定の検査項目がいつも異常値になる場合は、医療機関に受診することも大切です。